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ぐだぐだな日常と、小話と。
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 なんか最近更新してなくてごめんなさい。

 ということで、賢者な短編をちょっとあげておきます。主人公は賢者ではありませんが。
 1人称ですがまあ、読み流す程度にどうぞ。

 微妙にファンタジーでございます。




 =或る賢者の日常= 1

 謙譲語と尊敬語は省いて話しますが、私はトーシス神殿に勤める、とある方の秘書係です。

「おい、エアル」

 丁度、今私の名前が呼ばれたのですっ飛んでいきますと、綺麗な顔をした銀髪の少年が、ぼうっとした様子で猫を撫でています。

 この方が、私が秘書としてお手伝いをしている、上級神官のテア様です。
 本名は長いので覚えていません。ちなみに私のフルネームはエアル=レアル。大変覚えやすいと好評を頂いております。

「なんでしょう、テア様」

 あまりにも猫を見つめていますので少し遠慮がちに発言しますと、灰色の両目がこちらを見ました。

「俺の今日の仕事、あといくつある」

「あとたった6つで終わりますよ」

「6つ‥6つか‥‥‥‥」

 テア様は深くため息を吐くと、なにやら猫を転がし始めました。 
 ところが猫は迷惑そうに唸り、テア様の袖に爪の一撃を加え、逃げてしまいました。

「ああ‥‥バルトリエスユーラ‥‥」

「また大げさな名前を勝手につけて‥‥。全て覚えていらっしゃるんですか?」

「当たり前だろう‥」

 テア様はバル‥‥えー、猫の去っていった方角を名残惜しそうに見つめながら言いました。
この方、実は上級神官でありながら、この世にたった一人の貴重な存在、賢者なのです。
ただ単にものを多く知り、賢い人ならば多く居ますが、この方はこの世の全てを記憶している凄い人です。

「そんなテア様にいいお知らせがありますが」

「唐突に何だ‥‥」

 ああ、大分干からびてしまっています。テア様、生きがいが本と猫とお酒しか無いのに、本を読む暇はなく、お酒も取り上げられ、挙句猫にまで逃げられてしまったのですから、無理も無いかもしれません。

 しかし、此処最近真面目に仕事をこなしてきたこと、神殿側もちゃんと見ていますよ。

「実は、明日はお休みです」

「本当か!?」

 テア様は無表情ながらも子供のように目を輝かせ、私に聞き返してきます。
 見た目は贔屓目に見てもせいぜい16、7の少年ですが、実は御年21の立派な大人なのです。賢者にしては若いと思われるでしょうが、これにもちゃんと理由があります。

「ええ。明日は本に浸るも、猫をはべらせるも自由です。ただし、お酒は飲みすぎてはいけませんよ」

「よし、そうと分かれば仕事だ、仕事!」

「やる気を出していただけたようで何よりです」

 その後、テア様は馬車馬の如く働き、いつもの2倍の早さで仕事を片付けました。 
 いつもこれくらいの早さでやれば、もっとたくさん暇をとれるんですが。

 そして次の日、テア様の私室のドアをノックして、中に入った私は唖然としました。

「テア様?」

 てっきり猫と本と酒瓶の山に囲まれているかと思ったのに、もぬけの殻です。
 いくら休日とはいえ、テア様が変なことをしないようにと見張りを言い使わされた私の立場がありません。テア様の自由を妨害するようで心苦しいのですが、こちらも仕事。ここは情を捨てなければいけません。
 
 テア様が行きそうなところは大体知っているので、いくつか廻ってみましょう。

 私は18歳、立派な大人ですが、それでもまだまだひよっ子です。
 そんな私が何故高位な賢者神官であるテア様の秘書になれたのか。推測ですが、その一因には、多分私の足の速さと、人捜しの勘があるでしょう。小さい頃から、かけっことかくれんぼでは負けた覚えがありませんから。

 それと、神殿側の意向もあるようで、神官の秘書は女性が勤めることが多いです。

 それというのも、神殿に勤めるものは、巫女様も含めて結婚が許されています。神殿につとめる神官の多くは、神殿内の女性と結婚します。なぜかというと、神殿の外に出ることが少ないからですね。つまりは出会いが無い、と。
 
 秘書の試験を受けに来る女性の中には、高位の神官様の玉の輿を狙ってくる方も多いとか。勿論私は違いますが。ただ単に、衣食住の為と、あともうひとつは、あれです。えーと。

 そんな事を考えている間に、私は目星をつけておいた場所につきました。さて、テア様は、と見回すと。

 ほら、やっぱりいた。

 神殿の裏にある庭の一角、人がめったに通らない石道は綺麗な上に、日当たり良好。
 丁度いい具合にあたたまった石の上には、自然と猫が集まってきます。猫が集まるということは、必然的にテア様もよってくるわけです。

 たくさんの猫に囲まれて一緒に日向ぼっこでしょうか。長くてだらだらした豪華な衣装も、猫にのられて‥あーあ、くしゃくしゃです。
 
 折角見つけましたが、起すのは心苦しいですね。そういえば、私も連日テア様に付き合っていたので少々疲れが溜まっているみたいです。

 とりあえず、起こさないように隅によって、柱によりかかりました。
 テア様が起きるまで、ここで見守っていましょう。

 


 ================

 続きます。

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