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ちょこっと勉強したけど、数学って消えたほうがいいと思うんだ。
宿題が終わらない。未来(さき)が見えない‥‥‥。
まあ、それはおいといて、明日は久々の部活。楽しみです。
絵かくぞー。
というわけで小説続きをあげときます。
前回上げた分で、秘書の子がマント返す部分が無かったので修正しときます。
みじっかい修正なので読まなくても問題ありません。
それと、賢者さんの年齢も下げ下げ。流石に童顔すぎるので21歳にしておきます。(あんま変わらねえ
あと、もうひとつ思ったこと。
これって“日常”っていうより、“休日”ですよね。
サイトにちゃんと上げるときはタイトルが変わるやも。
=或る賢者の日常= 3
「‥酒」
本を3冊ほどいっぺんに読んでいたテア様が、唐突に呟きました。
「お酒ですか」
「そうだ、酒だ。丁度いい」
肩にぽん、と手がおかれます。なんですか?
「買いに行くから、着いて来い」
先ほどはあんなに逃げたがっていたのに。
まぁ、いいでしょう。これも仕事です。
「分かりました、お供します」
テア様ほど高位になると、外に出れば誘拐などの危険があります。その上、テア様はまともな相談ならばまともに考えますが、ご自身が下らないと判断した相談は相手にしません。
この前など、『妻に浮気がばれているかどうか教えてくれ』という相談に門前払いを食らわせていました。テア様への相談は人気ですので予約制。その方は4日も待っておられましたから怒り心頭でした。
つまり、テア様は感謝もされていますが、恨みも多少買っています。
買いまくった逆恨みはどういう結果になるか分かりません。なのでテア様の秘書である私は、同時に護衛でもあり、当然武芸と法術の心得があります。
法術はいわゆる魔術と似た様なものなのですが、魔術は魔の術で、法術は聖なる術だとかなんとか。どちらも自分の聖力か魔力かを使って精霊に力を借りるのですから、あまり変わらないと思うんですが。
基本的には、全ての人が聖力と魔力の両方を持っていて、そのどちらかが高ければ術士の素質があるということです。一般の人でも、修行をすれば炎くらいは出せるようになりますが、稀にそのどちらも全く無い人もいるようで、その代わりそういう人は大抵何かの特技をもっているらしいですよ。
そしてもっと稀なのが、両方を使える人。
自分の中に多く眠っているのが聖力ならば法術士に、魔力ならば魔術師になるのが一般なのですが、両方が高ければ、ほぼ全ての術領域を治めることができるので、術士よりもっと高位の、導師となる資格があります。
ちなみに私は法術士で、魔術は殆ど使えません。なので、神殿向きと言えるでしょう。神殿では、魔術はあまり好かれていませんから。
聖力を好む精霊は、神の眷属の眷属、つまり天使の眷属と呼ばれ、殆ど人に害を及ぼすことはありません。より高位な術士は、天使から力を借りることもできるそうです。流石に神様から直接、というものは見たことがありませんが、古い伝承にはそんな話もあるから恐ろしいものです。
しかし、魔力を好む精霊は、魔物とも似た性質をもっており、時には人に害を及ぼすこともあります。
テア様は噂によると法術も魔術も両方使えるそうなのですが、私は使ったところを見たことがありません。多分面倒だからでしょう。2、3度、遠征のときに賊に襲われたこともありますが、基本的に私含めた護衛隊が即座に鎮圧。テア様は指一本動かす必要がありませんでした‥‥すみません、少し自慢のようになってしまいました。
私など、本当はまだまだひよっ子なのです。
「通せ」
テア様と私は、神殿の門の前に着きました。門番の方は、きちんと私がついているのを確認すると、頭を下げてすぐに通してくれました。
「この門ばかりは、お前がいなければ止められるからな」
「でも、テア様なら魔術か法術で抜け出すくらいできるのでは?」
「神殿内で魔術など使えば、即座に神殿じゅうに知れ渡る。それに、神殿内には結界がある。結界を壊すほどの術を使えば私が疲れるだろう」
そうですか。
「で、どこに買いに行くんですか?」
「いつものところだ」
「ワグリーズさんのお店ですか」
「分かっているなら聞くな」
そう言っている間に、私達は商店街についていました。商店街は流石に賑やかですね。久しぶりにおりたので、ついうきうきしてしまいます。
「あ、あの果物おいしそう」
つい、ふらっとしそうになると、テア様に裾をつかまれました。
「おい」
「はい?」
「お前は、俺の、護衛と、見張りで、来てるんじゃ、なかったのか?」
目を正面から見つめ、一言一言、区切るようにはっきり言われました。
「はい。そうですが」
「‥‥もういい」
ふふ、勝ちました。先に諦めた方が負けですよ。
「大丈夫です。周囲もテア様もしっかり見てますよ。危険はなさそうです」
「そうか」
賑やかな商店街なのに通りにくくないのは、テア様が神官の格好をしているからです。トーシス神殿の神官は、人々から尊敬されているので、自然と道をあけてくれます。今まで神官の皆さんが積んだ善行の賜物でしょう。感謝しなくてはいけません。
「ワグリーズ、居るか?」
少し薄暗いお店に入ると、テア様は暗がりに向かって呼びかけました。
「いらっしゃい‥‥ああ、賢者様!」
すぐに返事が返ってきて、店内に灯がともされます。
今日の店番は、ワグリーズ夫妻の、旦那さんのほうみたいですね。初めて会ったときはその立派な髭に怯みもしたものですが、今では気のいい亭主だと知っています。先代の賢者様とも親しかったらしく、休みがとれるたび、このお店にお酒を買いに来るテア様は上客のようです。
「何かいい酒は入っているか?」
「そろそろお越しになるだろうと思って、とっておいた奴がありますよ。エルフェンラート様は、イコラ酒は飲んだことがおありで?」
差し出されたボトルを手に取ると、テア様は懐かしそうに目を細めました。
「240年ほど前に流行った酒だな」
「こりゃあ参った。お知りでない酒がないんだから」
ワグリーズさんは肩をすくめながらも、嬉しそうに笑いました。そりゃあ、テア様ほどお酒に詳しい方はあまりいませんよ。古今東西のお酒を知っていますから。
「最近では見るのも珍しくなったな‥そういえば、まだ西部の方では一部で造られているのだったか」
「ええ。ド田舎ですが、未だに昔ながらの方法で醸造しているところがあって。お気に入りなら、これからも取り寄せしましょうか」
「頼む。それと、いつものファレットを5‥いや、6本くれ」
そう言うと、テア様は懐から銀貨と紙幣を何枚か取り出すと、勘定台の上に置きました。ファレットというのは、結構一般的なお酒で、値段もお手ごろです。テア様が一番よく飲むお酒ですね。
「ああ、そういえばエルフェンラート様、掘り出し物があるんですが」
「何だ?」
ワグリーズさんの目がいつになく輝いているのを見て、テア様も興を引かれたようで、わずかに身を乗り出しました。
「これなんですが‥」
目の前に差し出されたのは‥‥‥‥えーと、あの、それは?
「あの、すみません‥それ、何でしょうか」
テア様が硬直されているので、代わりに私が訪ねると、店主さんは口を尖らせました。
「わかんねぇですか?見ての通り、猫酒ですよ」
猫酒という名のとおり、ボトルは可愛らしい猫が座っている形です。まさかボトルが猫だからなんてオチは無いでしょう。お酒自体が猫と関わりがなければその名前は詐欺というものです。
「‥猫が入っているんですか?」
「猫好きのテア様にそんなもの出したら殺されちまいますよ」
‥ですよね。よかった私の思い違いで。
「じゃあ、何故、猫酒なんて名前が?」
「猫が酔うものといえば?」
「‥マタタビ‥ああ、だから猫酒と?」
「勿論ですよ。まあ、この酒の一番の特徴といえば、味よりもボトルで。ごく最近、猫好きの人への贈り物として作られ始めたって噂を聞いて、すぐ取り寄せたんですよ。味もまあ、女性でも飲みやすい甘口ですから、秘書さんもどうですか」
「可愛いボトルですよね、これなら私も飲みたくなります。ね、テア様‥‥?」
テア様の方をふりかえると、がっちりとボトルを両手で抱え込んでいます。
‥どうやら、大変お気に入りのようですね。顔を上げたテア様は、無表情なのですが、目は輝き、幸せ全開といった感じでしょうか。
「恩に着る。釣りは払わなくていい」
「いえいえ、そんな訳にはいきませんので」
「ワグさん、けちなテア様がこう言うんですから、貰っておいてください」
押し問答になるのを止めようと気を利かせたのですが、逆にテア様から睨まれてしまいました。不服です。
「では、またイコラ酒と猫酒を仕入れときますよ」
「頼む。あと、次来るときにはトカリも入れといてくれ」
「了解」
トカリなんて強いお酒、果たしてテア様が飲めるのでしょうか。そう思ってちらと見ると、水で割って飲むんだ、という答えが返ってきました。
「成程、水割りならテア様でも飲めますね」
合点がいって手を合わせると、髪をくしゃくしゃにされました。いつもなら軽く頭をはたかれてもいいところですが、上機嫌だからでしょう。
髪を直すのが大変なので、頭をはたかれるより面倒なのは言わないでおくことにします。
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まだ続いたり。